美容上、大切な6つの働きを皮膚構造から理解することで、適切なスキンケアをしましょう!
- 皮脂膜
- 角層バリア
- 表皮のターンオーバー
- メラノサイト
- 毛細血管
- 線維芽細胞
※上記①を表面、②~④を表皮、⑤~⑥を真皮と言います。
皮脂膜
Q:皮脂膜とは?
Answer
皮膚の表面を覆う一種の保護膜です。
皮脂膜から分泌された皮脂が主で、汗腺から分泌された汗と角化産物とが混ざり合ってできた乳化物です。
Q:どのような役割があるの?
Answer
- 皮膚のツヤ、すべりを良くする。
- 皮膚の水分蒸散を抑える。
- 酸やアルカリを中和する。
- 雑菌の繁殖を抑える。
- 外部からの物理的刺激を緩和する。
上記のような保護膜としての役割を持っています。
ただし、実際に膜を形成するのは頭部から額・鼻周辺・胸や背中の中央などの皮脂腺が多く分布する正中線に沿った部分が主になります。
ポイント
皮脂分泌が多すぎると肌がベタついたり、ホコリ等が付着して肌が汚くなりますが、逆に老化や寒さなどで皮脂分泌が少なすぎると肌のツヤや滑らかさを失ってしまうという問題もあります。
つまり、皮脂分泌を適度にコントロールすることが大切です。
Q:皮脂が多すぎるとどうなるの?
Answer
テカリ、ギラつき、ベタつき、汚れ、毛穴の目立ち、ニキビ、吹き出物、過酸化脂質、化粧くずれ等が起きてしまいます。
それらを防ぐためにも、メイクアップ料や皮脂などの油性の汚れを落とすクレンジングと、クレンジング後に残った油性の汚れと水性の汚れを取り除く洗顔は丁寧に行う必要があります。
角層バリア
Q:角層バリアとは?
Answer
- 体内からの水分の蒸散を防いで皮膚の水分量を適切に保持する。
- 体外からの細菌や化学物質などの刺激を防ぐ。
ポイント
角層の保湿の仕組みは「レンガ塀構造」にあります。

角質細胞の中にはNMF(天然保湿因子)が含まれており、皮膚の内部から染み出してきた水分を角質細胞内に取り込んで、角質細胞を柔らかくします。
角質細胞間脂質はその水分を逃がさないように周りを固めています。
つまり、角層には水分を抱き込んで逃がさないという仕組みが備わっています。
- NMF(Natural Moisturizing Factor)
天然保湿因子ともいいます。
角質細胞に含まれる水溶性の物質で、肌内部から循環してきた水分を角質細胞の中に集めて角質細胞をしっとりさせます。 - 角質細胞間脂質
角質細胞の中に集めた水分を逃がさないように角質細胞の周りを固めている脂質でセラミドやセレブロシドなどのスフィンゴ脂質とコレステロール、脂肪酸が液晶構造を形作っています。
表皮のターンオーバー
Q:表皮のターンオーバーとは?
Answer
お肌の生まれ変わりのことです。
表皮は内側から基底層、有棘層、顆粒層、角層の順に積み重なった構造をしていますが、これらの層は基底層の細胞の分裂によって生み出された表皮細胞(角化細胞やケラチノサイトともいう)で出来ています。
表皮細胞は後から生まれてくる表皮細胞によって押し上げられ、徐々に形が扁平になりながら基底細胞→有棘細胞→顆粒細胞→角質細胞へと変化していきます。
やがて表皮に達した角質細胞の細胞間を接着するタンパクが酵素により分解されて徐々に垢(角質片:表皮から剥がれたものの総称)となって剥がれ落ちていきます。
この過程を角化といい、角化が繰り返され、表皮が常に新しい細胞に置き換わっていくことを表皮のターンオーバーといいます。
また、表皮のターンオーバーは単に表皮細胞が生まれ変わるだけではなく、その過程で角層の保湿にとって不可欠な角質細胞間脂質とNMFを合成しています。
Q:表皮はどのくらいで生まれ変わるの?
Answer
基底層で生まれた表皮細胞が角質細胞になるまで約2週間で、角質細胞になってから垢となって剥がれ落ちるまでに約2週間かかり、合計4週間=約1ヶ月のリズム(理想的なターンオーバー✨)で営まれています。
しかし、日焼けなどの炎症で周期は異常に早まり、逆に老化や寒さでは周期が遅くなります。
ポイント
どちらの場合も表皮の生まれ変わりが上手くいかず、乾燥や角質肥厚を起こしてしまいます。

Q:ターンオーバーを正常に戻すには?
Answer
食生活や睡眠時間を見直すだけでなく、角質ケアが出来るアイテム(洗顔やふき取り美容液など)を使い、ターンオーバーを促すのが効果的です。
また、乾燥や角質肥厚を防ぐためにも入念な保湿や紫外線対策をすることが大切です。
メラノサイト
Q:メラノサイトとは?
Answer
表皮の基底層にあり、基底層10に対して1程度の密度で存在しています。
Q:どんな働きをするの?
Answer
メラニンという黒褐色の色素をメラノソーム(メラニン顆粒)という袋の中で作り、メラニンで満たされたメラノソームを、腕を伸ばして周辺の表皮細胞に注入することです。
個々のメラノサイトが正常に働くとムラのない自然な肌色を作ります。
しかし、紫外線を浴びて炎症が起こると肌色は暗くなっていき、いわゆる日焼け後の色素沈着が起こります。
さらに、無謀な日焼けを繰り返していると一部のメラノサイトの働きが乱れ、シミを発生させてしまうことになります。
ポイント

- 紫外線から肌を守る。
- 自然な肌色を作る。
- 炎症などによりメラニン生成UP(ニキビ跡など・・・)
- 老化すると働きが不揃いになる。(シミになったり・・・)
メラノサイトの細胞内ではメラノソームとメラニンという黒褐色の色素が生成されます。
メラニンはアミノ酸の一種チロシンを原料としていてチロシナーゼという酵素等の酸化作用により生成されます。
まず、チロシナーゼがチロシンをドーパに変え、ドーパはさらにドーパキノンとなり、最終的にメラニンとなります。
メラニンは紫外線を吸収する役割を持っています。
この性質により、表皮細胞中のメラノソームは紫外線がDNAにダメージを与えるのを防ぎます。
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毛細血管
Q:どんな働きをするの?
Answer
皮膚の細胞の代謝活動を支える源は血行です。
基底膜を境に表皮と接する真皮上層部には毛細血管が分布しています。
ポイント
- 体が体温の調節をするために毛細血管が影響を受ける。
- 老化によって機能が低下する。

皮膚の代謝に必要な酵素や栄養は心臓から全身へ張り巡らされた動脈を通って運ばれます。
そして、動脈は最終的に毛細血管に達し、そこで血中に溶け込んでいた豊富な酵素と栄養が組織液中に溶け出し、皮膚の細胞に供給されます。
一方、皮膚の細胞は代謝活動を行い、二酸化炭素や老廃物を組織液中に放出します。
これらの廃棄物は拡散によって組織液中を移動し、やがて毛細血管やリンパ管に回収されたあと、最終的に体外に放出されます。
Q:体温と皮膚温は関係しているの?
Answer
関係しています。
体温は大体37℃に保たれるように調節されています。(毛細血管が作用)
これはホメオスタシスという性質です。体の中心部には脳や心臓などの生きていくために正常に機能し続けなければならない重要な器官があり、これらを守るために体温を保つ必要があります。
ところが、外気温が氷点下から40℃を超える猛暑まで変化すると、皮膚温は0~37℃まで大きく変化します。
その訳は、私たちの体が体温を一定に保つために皮膚や血管の働きを調節し、バランスを取っているからです。
そして、その影響を受けて皮膚温が変化するのです。
つまり、体温の安定を図るために毛細血管の働きを調節することが大切です。
線維芽細胞
Q:どんな働きをするの?
Answer
真皮を構成するコラーゲンやエラスチンなどの繊維およびその間を埋めるヒアルロン酸を生成します。
また、繊維芽細胞が作り出す酵素によって古くなった繊維やヒアルロン酸を分解します。
線維芽細胞は新しい組織を作ると同時に、古くなった組織を壊すことによって真皮の組織を常にリフレッシュしています。
表皮と比べるとゆっくりですが、真皮を構成するコラーゲンやエラスチンは数年から数十年のサイクルでターンオーバーしています。
表皮だけではなく、真皮も生まれ変わっているということです。
ポイント
- 真皮のコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸を作る。
- 同時にこれらを分解する。
- 老化によって機能が低下する。

まとめ
皮膚の働きには、以下の2点が重要です。
- ある適正なレベルやサイクルの範囲があって、それを外れると不具合が生じる。
- 皮膚の働きは互いに関連していることが多い。
ポイント
表面的な化粧品やスキンケアの知識も大事ですが、それ以上に肌にはどういった働きがあるのかを知ることこそが、お肌の健康寿命延長につながっていくと思います。